古民家

台風被害の屋根修復

2020.6.9

千葉県には古民家がまだ4万軒以上残っていて、その多くは茅葺き屋根です。これが50年ほど前に茅の保護のために瓦模様の鋼板で覆われる工事が盛んに行われました。その鋼板が去年の大型台風で剥がれてしまい、千葉県中で同じような被害が多発しました。

こうなってしまうと、直すのは大変です。全部瓦屋根にしようと思っても、軽い茅葺きを支えてきた小屋組を重い瓦に耐えられるように変えなければなりません。

また同じように鋼板を貼り付けるとしても、全面をやり直す必要があります。実は飛んで行った原因は施工精度によるもので鋼板が躯体にきちんと取り付けられていない屋根が飛んで行ってしまっているんです。ちゃんと施工してある古民家はあれだけの台風の勢いでも影響が出ていませんでした。かといって、茅葺を差し替えで補修するなんてことになったら、それこそ数千万円の出費になってしまいます。

古民家の持ち主は先祖代々伝わってきた住まいを将来に残していきたい気持ちでいっぱいですが直すとなると何千万円もかかります。ですので家を残すのかを家族で考える時間が必要。

ただ、そうこうしているうちにも雨漏りで建物が痛んでしまう。ブルーシートだと強風ですぐに飛んで行ってしまい、その度に足場をかけるのはもったいない。そこで私たちは棟の部分だけ鋼板で覆うという方法で対処する事にしました。

大抵、胸の部分がゴッソリ崩れて雨水の侵入路となっています。そこで棟だけを鋼板で覆うことで今年の台風は勿論のこと数年は雨漏りに悩まされる事もありません。足場もかけずにクレーンで持ち上げて作業するので、コストも大幅に削減することができました。

持ち主の方には、これでゆっくり保存する方向で考えてもらえると嬉しいですね。

studio ai architects 塚原 信行