土地探しに役立つ知識

用途地域とは?

2020.6.1

みなさん、不動産屋さんの広告でよく見かける用途地域という言葉。分かっているようでも実際詳しいことはよくわからないままの方もいらっしゃいますよね。今回は用途地域とはどのようなものか見ていきましょう。

用途地域は心地よい町にするためのもの

私達の生活には、様々な建物が必要です。みなさんの住まいだったり、仕事場、ショッピングをする商店やモール、それらの製品を作る工場など。

もし、これらの様々な用途の建物が何の整理もなく、自由に建てられてしまったら、町はどのような事になってしまうでしょう。例えば自分の住まいの隣に工場があったら朝早くから機械の騒音で起こされたり、大型トラックが荷物を頻繁に取りに来て、道路を歩くことが怖かったり、または隣が深夜まで営業している飲み屋さんだとしたら、夜中まで賑わう声が響いて、中々寝つけなかったり。

これだと、心地よい生活が出来ませんよね。そこで、快適な町を作るために都市計画法という法律の中で用途地域という、いわば建物の用途を整頓する法律が定められました。

用途地域はどこの区域で指定されているの?

用途地域は準都市計画区域外の都市計画区域外は定められません。こんな事を急に言われてもなんのことだかですよね。それではここで少し、区域のお話しをしまよう

日本の国土は都市計画区域内と都市計画区域外に分かれます。都市計画区域外は全て大自然で人が住んでいないかというと、そうでもありません。例えば千葉県南部はかなりの範囲が区域外です。この都市計画区域外の中でも既に少し開発が進んでいたりするエリアで、都道府県(この場合は千葉県)がもうちょっと整頓したいけど今は保留にしておきたいなというエリアを準都市計画区域として指定し、色々と決める前に町がゴチャゴチャにならないように防いでいます。

今度は都市計画区域内の中身を見ていきましょう。この区域内には大きく二つに分かれます。一つはみなさんの大多数が住んでいる市街化区域。もう一つは市街化調整区域と呼ばれているもので、山林や田園など自然が豊富な区域で自治体がそこまで町を広くする必要もないかなと考えているエリアにあたります。

因みに、この区域や先に述べた都市計画区域外でも住まいを建てられないかというと、そうでもありません。その話は別の機会にお話しますね。

今回のお話の用途地域はどこで使われているかというと、必ず使われているところは皆さんの大多数がお住まいの都市計画区域内の市街化区域の中で使われている、と覚えて頂ければ、ほぼほぼ大丈夫です。

用途地域の種類

用途地域は大きく住居系、商業系、工業系を元にそれらを細分化し全体で13種類に分かれています。

例えば一番制限のかかっている地域で第一種低層住居専用地域というものがあります。8つある住居系の中で最も厳しい制限がかかっている理由としては、この地域では閑静な住宅街を作ることを一番の目的としているからなんです。

ですので、生活に必須な学校や公共施設、診療所以外は建てれません。単独のお店、例えばコンビニも建てられず、唯一許可されているのは、住宅の一部に小さい床屋さんなり、文房具屋さんなり、そういった主たる目的が住宅の一部に付属された商店くらいしか許されていません。

もう一つ厳しい制限のかかっているのは工業専用地域です。3つの工業系の中で一番厳しく勿論住宅は建てられないですし、店舗も音が気にならないカラオケ屋さん以外は殆ど許可されていません。建てられるのは全ての工場と事務所。いわば仕事専用の地域になっています。

最後の商業系は比較的何でも建てられます。例えば住まいを探す時に若い頃は、駅のそばで賑わいのある地域の方が便利で楽しいから、少しくらい騒がしくてもいいと思っていた方も多いはず。そんな人たちも自由に暮らせるエリアが商業系です。

用途地域内の決まりごと

用途毎に町が整頓されると共に、用途地域内には其々決まり事があります。建ぺい率、容積率、高さ制限、斜線制限(道路、隣地、北側)、日影規制などがそれで、それぞれの用途が快適に暮らせるように設定を変えて工夫しています。例えば、商業系には建物の容積を多くして、人々が賑わえる施設を増やしたり住宅地では、日当たりをよくするための制限を加えたりと、法律によって、私たちの快適な生活が確保されているんですね。

いかがでしたでしょうか?今回は土地探しをされた方以外は普段、あまり気にすることのなかった用途地域のお話でした。一通り内容を知ると、日々の生活において私たちは結構法律によって恩恵を受けていることがわかりますよね。

studio ai architects 塚原信行