プレカット材と手刻み材の違いとは?
みなさん、プレカット材という言葉を聞いた事はありますか?プレカット材とは字のごとく事前にカットされた材という事。住まいの柱や梁などの接合部は複雑な形で切り込まれそれが互いに合わさることで固定されています。その加工を機械で行ったものをプレカット材、昔ながらの手法で大工さんがノミで手刻みにより加工したものを手刻み材と呼びます。
今では、住まいの9割で使われているプレカット材。殆どは機械化された現代においても昔ながらの技術を大事にしている大工さんも少なからずいる。それでは両者の違いを見ていきましょう。
プレカット材のメリット
プレカット材のメリットは工期の短縮につながります。以前は大工さんが手作業で一本一本接合部を刻んでいた仕事と比べ、事前の図面データをコンピューターに入力さえしてしまえば、自動的にしかも早く加工ができてしまいます。
機械による正確な接合部の加工は施工性も向上させます。現場に持ち込まれたプレカット材は現場で組み立てるだけなので作業効率がよく、そのお陰で人件費削減につながりコスト面でも効果があります。
手刻み材のメリット
対して、手刻み材の利点を見ていきましょう。現代の日本で1割弱しか使われていない手刻み材。効率も悪いのにそれでもこの工法が大事にされているのは、ちゃんと理由がありました。まずは、丸太をちゃんと加工する事ができます。確かにプレカットでも多機能加工機というものがあり加工はできます。しかし特殊で高価な機械ですので、大抵は大工による手刻みの仕事に頼る事になります。古民家の小屋組に使われている大きな丸太の梁などを巧く組み合わせるには、やっぱり昔ながらの大工さんの腕にかかってるんですね。
また最大の利点は材木のクセを活かした位置に大工さんが刻みを施せる事です。材木は工業製品ではなく一つ一つ個性のある植物です。ですので育ってきた環境で強い面、弱い面、節の位置などそれぞれの特徴があります。大工さんはそれらを踏まえた形で一番強度が出るよう手作業で刻んでいくんです。
いかがでしたか?コストダウンのために効率化を図ったプレカット材、かたや木のクセを読み込んで時間をかけて刻んでいく手刻み材。結局のところ、出来上がった住まいが商品として作られたのものなのか、それともものづくりの結晶として作られたのものなのか。両者の違いは加工の域を超えて、住まいに対して大工さんの向き合い方の違いなのかもしれませんね。