土地探しに役立つ知識

建ぺい率、容積率とは?

2020.6.1

建ぺい率と容積率、土地探しの時に良く見かける言葉。実際はどのような事を意味するのか、見てみましょう。

建ぺい率とは?

建ぺい率とは、土地の広さの何割まで建物を建てて良いかの比率です。例えば建ぺい率50%の地域でしたら土地を真上から見て、住まいの屋根が土地の半分に収まっていたらクリアしているという事になります。細かくは建物のどの部分を含むとか含まないとか多少ありますが、大筋これが分かっていれば9割分かっていると思ってもらって大丈夫です。

この建ぺい率は30%〜80%の間で地域ごとに指定されています。一番低い30%ですと、建物がぎっしり詰まることはないので、敷地にゆとりを持った高級住宅街や歴史的建造物の多いエリアなどに見られます。

一番多い80%は商業系などの人が集まるエリア。住居系ですと準住居地域などの土地を有効活用する事を目的としたエリアに多いです。

建ぺい率を増やせる?

実は80%よりも多くする事もできるんです。そもそも住居が密集してしまうと通風や採光が取りづらくなり、心地よくなくなってしまうという事もありますが、町全体として一番気になるのは火災の時に隣にどんどん火が燃え移ってしまう事です。このような災害を防げるのであれば、もう少し建物を建てても構いませんよという趣旨で、角地だと10%加えることが出来ます。

この他、一番火災になって欲しくない地域で『防火地域』というものがあるのですが、この中で一番燃えない建物『耐火建築物』を作ってくれるのであればもう10%加えてもいいですよ、という事になります。ですので、建ぺい率80%の地域でこの2つの条件を満たすと100%という事にもなります。

ただ土地にめいいっぱい建物を建ててしまったら、工事がしにくかったり空調の室外機や給湯器などの設備をどこに置こうとか色々と問題はありそうですが、この法律的には可能という事になります。

容積率とは?

次に容積率のお話をしますね。こちらは敷地の大きさに対して建物の延べ床面積の最大値が示されています。例えば敷地100平米の土地で容積率200%でしたら、全ての階の合計が200平米までの建物が建てられるという事になります。

ですので、こちらも閑静な住宅地では、少なめですし、商業系などは多い傾向にあります。

容積率のルールは2本立て

ここで、一つ注意点があります。実は容積率は先に述べた用途地域から指定されている数値と、もう一つのルールの2本立てで、どちらか少ない方の数値を守らなければならないのです。日本では、あまりに細い道に面した道路に容積率の大きな建物を建てる事を抑制しています。例えば細い道沿いの両側いっぱいに大きな建物がギッチリ建ててしまうと、普段の通風や採光などの生活環境に影響するのは勿論のこと、もし火災が起きてしまったら、細い道に逃げる人と救助する人がごった返して逃げ遅れてしまうかもしれませんし、そんな中、ボリュームのある建物がどんどん燃えてしまったら、大惨事になりますよね。

ですので、敷地の前の道幅が細い場合は、容積率を下げる工夫をしているんです。
では、どのようなものか見ていきましょう。

一般に前面の道幅が12m未満の場合、住居系では40%、その他の地域には60%を道幅にかけてあげます。

例えば、道幅4mの通りに面した容積率は4m×40%=160%です。仮にこの場所が用途地域によって200%と指定されていても、この敷地で建てられる160%という事になります。

これでみなさんの容積率の知識は99%は完璧です。あとは、近所に広い道路があったら制限が緩和されたり、4m未満の特に細い道ですと、セットバックによって容積率が変化したりしますが、その辺りは稀なケースですので、ご近所の建築家にご相談してみてくださいね。

studio ai architects 塚原信行