住まい造りに役立つ知識

好みの設計事務所の見つけ方

2020.6.1

皆さんが住まいを設計事務所に頼んで建てようと思った時にどのように自分にあった建築家を探していいか悩まれた方も多いのではありませんか。最近では建築家を紹介するポータルサイトも豊富ですので、以前よりはかなり便利になりましたが、それでも色々と物色しているうちに何がなんだか分からなくなってしまったり、折角苦労して見つけても、住んでる場所からかなり離れた事務所だったりと、どんどん時間だけが過ぎていってしまう経験のある方もいらっしゃるかと思います。そこで、今回はどのようにお気に入りの建築家に出会えるのかを見てみましょう。

住宅系雑誌を利用する

まずはオーソドックスですが様々な住宅系雑誌を本屋さんで一通り見てみる。このメリットは、今までなんとなく漠然とした好みの住まいのイメージが色々な作品に目を通す事でだんだんとはっきりしていきます。そのイメージがあなたの好みの建築家探しに役に立ちます。また建築雑誌の良いところは編集部の目にかなった建築設計事務所が記載されてますので、有名な建築家やデザイン性の優れた建築家を見つけ出す事ができます。

デメリットとしては、機能性だったり、細かいディテールなどの品質性がどうなのかまでは写真では分かりません。雑誌社の視点は、あくまでも読者の興味が湧くことです。写真で見て映えるもの、変わったコンセプトなどちょっと新鮮味を感じさせる物件が多く紹介されているので、住んでみて快適かどうかまでは分からないところがあります。

それらを踏まえながら住宅特集、住宅建築、CASA,モダンリビングなどをみて、気に入った雰囲気の住宅を見つけられることができれば、直接コンタクトを取ってみるのもアリですよね。

もっと多くの雑誌を見てみたい方は、県立図書館や東京ですとMOTなどの美術館に併設された図書室に行けばバックナンバーを閲覧することができます。お休みなどを利用して、家族で1日ゆっくり図書館で家探しもいいものですよ。

建築家の所属する団体に問い合わせる

次に、打ち合わせなどの事を考えると近所の事務所の方が直ぐに話せるし余計な交通費なども掛からないのでいいという方もいらっしゃいますよね。そういうことであれば、建築士事務所協会、建築士協会など、建築士の団体を利用する事をオススメします。

これら団体のホームページに行くと、所属している建築設計事務所を検索することができます。お住まいの地域にもこれら団体支部のホームページがありますので、そこから調べてみるのが良さそうですよね。ネットが面倒でしたら直接電話での相談も可能です。

オープンハウスを見学する

最後に、設計事務所主催のオープンハウスを見学する。多くの設計事務所は自分たちが設計した建物が完成し、引き渡し前に一般の人たちに対しお披露目会を行います。

メリットとしては、空間の雰囲気を直に感じられ、心地よさを確認できます。建築は体感して初めて良さが伝わるので、幾ら写真で見栄えのする住まいでも、実際お邪魔すると、ちょっと思っていたものと違うかもって事はよくあります。こういう機会に内見するのは、その建築家がどのような姿勢で建築と向き合ってきたかを感じる唯一のチャンスです。

デメリットとしては、中々、そのオープンハウスを見つけにくいことです。ですので、もしお気に入りの建築設計事務所がいくつか決まったら、そのホームページを頻繁にチェックしてお知らせが出たら直ぐに予約をしてしまいましょう!

設計事務所に断られる理由とは?

今回は好みの設計事務所の見つけ方をご紹介しました。最後に一点だけ注意事項があります。それは、いくら懸命に事務所を探してもその事務所から断られてしまうケースもあります。

1番の理由は建築家の仕事を尊重していない方。これはどの商売も同じですよね。例えば皆さんレストランに行って料理を待っている間に、厨房に入っていってこの調味料は使ってはダメとか、試しにこの素材を加えてとは言いませんよね。そんな事をしたら折角の美味しい料理も台無しになってしまいます。

また、建築家の仕事を理解せずに自分のステイタスのために建築家のネームバリューを利用する方。高価な時計を長い時間をかけて手作りしている職人さんは、自分達の仕事を理解してくれる方に時計を買って欲しいものです。時計などの商品であれば制作している最中は買い手が見えないので、仮に作り手の望まない人でも販売することは可能でしょう。ただし、建築となると多くの時間を共有して共に作り上げていきます。そこがうまくいかない限り良い建築は生まれません。仮に失敗してしまったら一方的に建築家のせいになり評判を落としてしまう事もよく聞く話です。建築家はそのコミュニケーションが作れる人かどうかということをみますので、仕事を依頼する際はこのポイントを思い出してもらった上で、自分もこの建築家と上手くやって行けるのかを判断されることをお勧めします

studio ai architects 塚原信行