建築家の仕事(後編)
それでは、建築家の仕事(前編)に引き続き建築家の10の仕事の後編になります。
4、基本設計
基本設計とは、お客さんとの間で考えていったコンセプトをカタチで表現する段階です。この段階で模型やパースを使いながら、お客さんのイメージに合っているか確認しながら進めていきます。イメージがまとまったら、今度はそれを図面化します。ここでの図面はお客さんとのイメージ共有のための図面なので、細かいディテールまでは書き加えません。
5、実施設計
実施設計図書とは、基本設計でお客さんと合意の取れたアイデアを、今度は作り手の施工業者に伝えるためのより細かい図面を書いていく作業になります。
この実施設計では、外装、内装、建具などの建材の仕様を決めたり、造り付け家具の図面を用意したり外構計画をしたり。現場で職人さんが躊躇なく作業できるように、詳しくそれでいて分かりやすく丁寧に図面に記載していきます。
6、確認申請
建築物を新たに建てるときは役所に確認申請をする必要があります。これは法律を守って計画されているか建物を建てる際に事前にチェックを受ける申請になり、これを受理されて始めて着工する事ができます。また、工事中や竣工した際にも図面と相違ないかチェックしてもらい、問題がなければ最終的に検査済証がもらえます。近年では役所の代わりに民間検査期間が代行しているのでそちらで申請を行うことにより遠方の役所まで行く必要もなくなり便利になって来ています。
7、見積書チェック、入札業務
通常実施設計が終わると建設会社に設計図書一式を渡し、見積もりをしてもらいます。見積もり中に図面では分からなかった部分などの質疑に答え、見積もり漏れのないようにします。また仕上がった見積書が適正な価格かどうか、建築家が第3者の立場で判断します。これが設計施工で依頼してしまうと確認する事はできません。
また、比較的大きな現場では競争入札を開催します。同時に数社の建設会社に入札してもらい、選定するケースもあります。この辺りの取りまとめ業務も建築家の仕事の一部になります。
8、施工図チェック
施工図とは、施工会社が設計事務所の設計図書を元に、施工レベルでより細かく検討するための図面です。この施工図がこちらの意図に相違ないか着工前にチェックし、違うところは事前に訂正してもらいます。この作業をキチンと行う事で建設会社側は施行が滞りなく進められるようになりますし、1番のメリットは作り手が施工図を書く事で建物の全容を一旦、頭の中に落とし込める事です。この作業をする事で現場でのミスを最小限に留める事ができます。
9、工事監理
工事監理とは、現場で設計図書通りに工事が進んでいるかチェックし、施主に報告する業務です。言わば建築主に代わって現場の見張り番を行う仕事です。この業務がある事で、設計施工が同一の会社に頼むよりも建物の品質は向上します。だってお客さんの代理人にいつも見張られてしまっているんですものね。
ここで似ている言葉として工事管理があります。こちらは施工会社の現場監督さんがこの役目を担っていて、現場の品質を管理し、材料や工程その他、安全面なども多くの現場面での業務を管理しています。
10、アフターサービス
最後の役目は竣工後です。建築家が関わった建物が竣工後に問題がないか、適切な時期にチェックする事で、長く使え、誰からも愛される建築になります。
以上が建築家の仕事になります。みなさんいかがでしたか?ただ、デザインしているだけかなっと思っていた方には、意外と仕事量あるなーと感じられたのでは?デザイン以外にも様々な作業をする事によって、デザイン性、コンセプト、高品質、適正価格で長持ちのする建築を作り上げることが出来るんですね。
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